JR九州 特急料金値上げへ 多客期の割増も初導入 「九州ネットきっぷ」などは据え置き

JR九州は、在来線特急列車に適用している特急料金を2022年4月1日(金)乗車分から見直します。

特急「ソニック」などで運行しているJR九州883系電車(マイペイ/写真AC)
特急「ソニック」などで運行しているJR九州883系電車(マイペイ/写真AC)

新型コロナウイルス感染症による利用客の減少や経営環境の変化を受け、持続的な交通ネットワークを維持するための特急料金見直しと説明しています。

自由席特急料金は、乗車区間の営業キロに応じて現行価格より190〜920円の値上げとなります(料金表は下表を参照)。例えば、「25キロまで」の区間の自由席特急料金は現行で310円のところ、改定後は500円に、「301キロ以上」の区間では現行の1,680円が改定後は2,600円になります。また、「小倉駅〜博多駅間」などいくつかの区間に設定されているおトクな特定特急料金についても、現行価格から80〜190円値上げされます。

指定席特急料金は従来と同じく、自由席特急料金に530円を加算した金額となります。特急「あそぼーい!」の展望席(パノラマシート)および白いくろちゃんシート、ならびに特急「かわせみ やませみ」のやませみベンチシート利用の場合は、さらに210円増した金額となります。

ただし、見直し後に新たに設定される「対象日」に乗車する場合、指定席特急料金は200円割増となります。対象日は毎年共通で4月1日〜4月5日、4月28日〜5月6日、7月21日〜8月31日、12月25日〜1月10日、3月21日〜3月31日の期間です。

割引きっぷの発売額は、現時点においては現行の価格を据え置き、変更の予定はないとのことです。発売額が変わらないのは、「九州ネットきっぷ」「2枚きっぷ」「ハロー自由時間パス」および特急定期券「エクセルパス」などです。ただし、「ジパング倶楽部」の割引など、「通常の特急料金から30%」などの割引をして発売されるきっぷについては、料金見直しに伴い価格変更が発生します。

【図表で解説】JR九州 2022年4月1日乗車分から在来線特急料金を見直し

主要区間である「博多駅〜大分駅間」で指定席利用の場合(大人片道、以下同じ)、普通運賃込みで現行5,680円のところ、見直し後は6,470円、対象日に当たる場合は6,670円となります。比較すると790〜990円の値上げとなります。一方で、発売価格が据え置かれるネット予約限定の「九州ネットきっぷ」なら、通年同額の3,150円で指定席が利用できます。特急料金改定によりおトク額はさらに広がり、通常きっぷの半額以下で利用できるようになります。

JR九州の在来線特急料金はこれまで、他のJR各社で定めている安価な「B特急料金」よりもさらに低廉な料金設定となっていました。今回の料金見直しにより、他社の標準的な「A特急料金」とほぼ同水準の価格帯に引き上げられます。ただし、他社(JR北海道を除く)の特急料金は「50キロまで」が同一価格であるのに対し、割安な「25キロまで」の近距離区分は維持され、引き続き「ちょい乗り」需要に対応します。

もう一つのポイントとして、JR九州の特急料金は通年同額でしたが、見直し後は時期により変動する料金体系となります。今回導入される200円増しの「対象日」は、九州新幹線やJR各社の「繁忙期」に相当するものです。一方で「閑散期」における割引の設定はなく、あくまで割増もしくは通常料金の2区分による独自の制度となります。