西鉄バス「福岡都心100円エリア」150円に値上げ 新型コロナで利用減少 新サービスも

西日本鉄道は、西鉄グループの一般路線バスにおける割引サービスについて、2021年7月1日(木)に見直しを実施しました。

渡辺通りの天神バス停付近を走行する西日本鉄道の一般路線バス車両(Katsumi/TOKYO STUDIO)
渡辺通りの天神バス停付近を走行する西日本鉄道の一般路線バス車両(Katsumi/TOKYO STUDIO)

他の交通手段からの転移を促す施策として、西鉄は1999年7月から試験的に、博多駅〜天神間の福岡都心エリアのバス運賃を100円としました。値下げにより乗客数が増加する効果が得られたことから2000年4月に本格導入され、消費増税分の転嫁も行われることなく100円運賃は継続されました。しかしながら昨今、新型コロナウイルス感染症の影響により全体の利用客数が減少しているとし、100円運賃は2021年7月1日(木)から150円に値上げされました。

対象は、従来の「福岡都心100円エリア」および「駅から100円・駅まで100円バス」(福岡地区10駅、北九州地区3駅から約1km圏内)です。今回の運賃改定は、国の認可を受けている運賃(上限運賃)の範囲内での見直し(割引額の縮小)となります。また、福岡都心100円エリアの値上げに伴い「福岡都心100円エリアフリー定期券」は6月30日(水)をもって発売終了となりました。7月1日(木)以降の150円均一運賃区間については、通常運賃により計算される定期券での発売となります。

なお、150円となった運賃区間は新たに乗継割引の対象となり、ICカード「nimoca」を利用して90分以内の乗り継ぎを行うと、2乗車目は50円割引となります。

そのほかにも、一部の定期券・乗車券サービスの見直しが実施されています(詳細は下表を参照)。

10時以降の時間帯に福岡都市圏の路線バスが乗り放題となる定期券のうち、23時まで有効の「ひるパスロング」の発売は6月30日(水)をもって終了となっています。17時まで有効の「ひるパス」は継続発売されます。なお、「ひるパス」「ひるパスロング」とも、適用時間外または適用エリア外でnimocaチャージ残高により運賃を支払った場合、利用金額の8%のnimocaポイントが付与されるサービスが実施されてきましたが、これについては6月30日(水)乗車分を持って終了となっています。

65歳以上の方限定の路線バス乗り放題定期券「グランドパス65」は、7月1日(木)から一部の券種を除き値上げされました。「グランドパス65」と同一のサービスで、対象時間を10時〜17時までに制限することで価格を抑えた新商品「おひるのグランドパス65」が設定され、7月1日(木)から利用可能となっています。

紙券タイプの1日フリー乗車券のうち、「福岡市内1日フリー乗車券」「福岡市内+太宰府ライナーバス『旅人』1日フリー乗車券」「北九州都市圏1日フリー乗車券」の3種については、7月1日(木)から100円〜200円値上げされています。なお、スマートフォンアプリ「my route」で発売しているデジタル乗車券「スマ乗り放題」については価格据え置きとなっています。

各種既存サービスが見直される一方で、近距離利用者に対する新たなサービスが試験的に導入されます。サービス名は「おとなりポイント」で、福岡都心フリーエリア内においてnimocaにより1バス停区間(隣りのバス停まで)を利用した場合、1乗車あたり50ポイント(小児は25ポイント)のnimocaポイントが後日付与されます。施行期間は7月1日(木)〜2022年3月31日(木)です。1バス停間でも、都市高速を経由する場合や、快速系統で途中に停車しないバス停がある場合などには適用されません。

【図表で解説】西鉄グループ 一般路線バスの割引サービス見直し

西鉄は、環境の変化に適応し、ポストコロナ社会においても持続的な公共交通サービスを提供するための見直しと説明しており、利用者の理解を求めています。