小湊鐵道「房総里山トロッコ」運転開始 カフェ併設の「こみなと待合室」もオープン

開放感あふれる客車に乗って里山景色を肌で感じることができる小湊鐵道の「房総里山トロッコ」が運転を開始しました。

菜の花畑と小湊鐵道「房総里山トロッコ」(写真AC/さにぃ♪)
菜の花畑と小湊鐵道「房総里山トロッコ」(写真AC/さにぃ♪)

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の延長に伴い、2021年3月13日(土)に予定されていた今シーズンの運転開始は延期となりましたが、緊急事態宣言終了を受けて3月22日(月)から運転が開始されました。

2015年に運転を開始した「房総里山トロッコ」は、専用の機関車がトロッコ客車4両をけん引する小湊鐵道の観光列車です。12月26日(日)までのシーズン中、平日ダイヤでは五井駅〜養老渓谷駅間に上下各1本、土休日ダイヤでは五井駅〜上総牛久駅・養老渓谷駅間に上下各3本が運転されます(時刻表と運転日カレンダーは下図を参照)。

「房総里山トロッコ」の乗車には乗車券のほか、トロッコ整理券(600円、大人・子ども同額)が必要です。整理券はインターネットおよび電話で事前申し込みをし、乗車当日にトロッコ乗車駅の窓口で購入します(現金のみ)。残席がある場合は当日券が発売され、乗車駅に行くと先着順で乗車できる場合もあります。

トロッコの客車は4両編成で、1・4号車が窓やエアコンが装備されている普通車、2・3号車は窓ガラスのない展望車となっています。車内には天然木製の4人掛けボックスシートが並びます。すべての車両の天井はUVカットのガラス張りで、明るい日差しが差し込み開放的です。展望車の側面は大開口となっており、季節ごとの風を感じながら乗車できる一方、当日の天候により雨具や防寒着が必要な場合もあるので、あらかじめ用意するよう呼びかけています。整理券申し込みの際に車両と座席が指定できます。

けん引するのは、小湊鐵道で活躍した1923年(大正12年)製のコッペル蒸気機関車を再現し、2015年に新造されたDB4形機関車です。動力源はディーゼルで、世界的な排出ガス規制をクリアしたボルボ製クリーンディーゼルエンジンが搭載されています。そのため、SLのように煙突から常時煙が出るわけではありませんが、排煙装置がついており、ときおり白い煙が出されます。汽笛は倉庫で眠っていた大正時代のものが磨かれそのまま装備されているとのことで、懐かしい音色が里山に響きわたります。

【図表で解説】小湊鐵道 「房総里山トロッコ」

3月24日(水)には五井駅東口前に「こみなと待合室」がオープンします。小湊鐵道本社敷地内にある会議室を外観はそのままに、屋内をフルリノベーションしてつくられた、小湊鐵道直営によるカフェ併設の待合室です。当初のオープン日は3月12日(金)が予定されていましたが、12日遅れでのオープンとなります。列車の待ち合わせのほか、羽田空港行の高速バス、ゴルフ場行の送迎バスの待ち時間など、誰でも利用できるパブリックスペースとなっています。

カフェスペースでは小湊鐵道の列車をイメージしたオリジナルブレンドコーヒーや軽食などが提供され、室内には無料Wi-Fi、電源(コンセント・USB)、授乳室なども設置されます。ベビーカー預かりやロッカーの無料貸し出しサービスも行われ、トロッコ列車の乗車時にも便利です。小湊鐵道の線路に面した外テラスは里山の風景が再現されており、ベンチに座ると行き交う列車が目の前を通り過ぎます。夏にはビアガーデンも開催される予定とのことです。